英語の実力を言うとき、単語量がモノをいうのは事実です。「たいへん残念な結果だ」とお嘆きの貴兄に、朗報がございます。英単語なんて簡単にメキメキとモノにできるのです。それにはちょっと「身の構え方」を変えましょう。
単語を覚えることは、日常ではない特殊なことでしょうか? ねじり鉢巻きに、まっさらのノートを広げ、覚えられないのは隣の犬のうるさいせいにするために、わざわざ時間を割くようなことでしょうか?
いいえ、とんでもない! それでは隣の犬が迷惑しますし、いくら時間があっても足りなくなります。
じつは普通に生活していても、ぼくらは新たな単語を次々に仕入れています。例えば、
毎日出会う、新しい単語はたいへんな数になるでしょう。そのすべてをぼくらは覚えているのです(でなければ、コミュニケーションをとることはできません)。
そのとき「単語を覚えるぞ」などと、まったく意識されないのは、それが「あたりまえ」だからです。単語を覚えることは、特殊でも何でもなくて、日常のことなのです。
毎日出くわす多くの単語を、ぼくらはどうやって覚えているのでしょうか。わざわざノートに書き込みますか? 「バリスタ:カプチーノを入れる人」なんて。そんな「努力」など一切せずに、ペロッと覚えちゃいますよね?
でも、全く何もしていないわけではありません。新たな単語に出会い、それを覚えてしまうとき、ぼくらは何をしているんでしょう? 「あたりまえ」だと思っていることの方が、かえってブラックボックスなっていたりします。
あまり単純な答えでは、単なる「言い換え」になってしまうので、ここでは何ステップかのアルゴリズムに分析します。次の3ステップではないかと、筆者は思うのです。
1.イメージする。 2.位置を与える。 3.使ってみる。
新しい単語に出会うとき、ぼくらはイメージし、自分なりの解釈で言語世界に独特の位置を与えているのです。その上で、自分なりに使ってみることで、その単語を自分のものとします。上記の例では、こうなります。
実物でも写真でも、はたまた想像でも、何しろマキアートの「絵」を思い浮かべます。匂いを嗅いでもいいですね。
「へえ、染みって意味なのか。泡に白い部分があるだけで違う商品だなんて、小生意気なコーヒーだ。まあカプチーノの親戚みたいなものだろう」
→「コーヒー」フォルダの中の「カプチーノの斜め上(=よりオシャレ)」に位置づける。
「あ、マキアートで。僕が飲むコーヒーはマキアートって決まっているのさ。ホホホ」
復讐・成功を遂げるまで「まき(薪)の上に寝て(臥)、苦いキモ(胆)をなめる(嘗)」か…。つらそうだな。
社会的経験の豊富そうなベテランの人がよく使うぞ。かなり偉そうな四字熟語だ。
→「苦労」フォルダの中の「大人っぽいところ」に位置づける。
「そんなにすぐにはあきらめません。いつか成功するまで、(今だ!)ガシンショータン、がんばっていくつもりです。ホホホ」
他にも考えてみてください。きっとこの3ステップで間違いはないでしょう。脳の働きとしては、こうなります。
英語(英単語)でも同じです。違うことをしていたからこそ、覚えられなかったのです。
「書いて覚える」などとレポート用紙に20回ずつ書いたり、ぎょっとするような蛍光色で教科書をビカビカに塗りたくったり、自分だけの単語帳だなんて辞書を丸写ししたり、そんなことは全部間違いだったのです。脳の働きに沿っていません。
脳の働きに沿っていない、かつての方法(ここでは「英単語勉強」と名付けましょう)でも、ある程度覚えられることは確かです。みなさんもそうやって試験を「とりあえず」乗り越えてきたことでしょう。
でも「とりあえず」を重ねたところで、いい結果が出るのは、ビールを頼むときくらいです。
英単語勉強でとりあえず詰め込んだ単語なんて、試験が終わって、せいせいな気持ちでゲームセンターに繰り出す頃には、もうきれいさっぱり忘れていたことと思います。
そうやって英単語勉強で覚えた単語の中で、定着する物はとても少ない。悲しくなります。
お目々を曇らせる涙を拭いて、定着した単語をジッと観察してください。どうして定着したのでしょう。そして、どうしてその他の単語は定着しなかったのでしょうか。
ほらね。同じでしょう? 「1.イメージし、2.位置を与え、3.使ってみる」というステップを踏んだかどうかで分かれているでしょう?
その単語をたまたま他でも見かけて、そのときに妙にイメージの湧く使われ方をしていたりすると、使ってみたくなります。自分なりに使ってみた単語は定着します。
嫌々読んだ教科書に使われている場合、ぼくらはイメージを湧かせたりしないし、ましてや自分なりに使ってみようともしないので、全然単語を覚えません。
そう考えると、英単語だからってどうして変に身構えていたのか、今となっては首を傾げますね。
「イソプロピルアンチピリン=風邪薬の成分」と覚えることに、努力なんてものは必要ありません。脳の働きに沿ってさえいれば(CMはそのようにできています)、勝手に覚えてしまうのです。
「イソプロピルアンチピリン=風邪薬の成分」を「勉強」して覚えようとしたら一苦労だと思います。勉強なんかしないで、ただ脳の働きに沿うように「1.イメージを見て(CMの映像とか、風邪薬の箱とか)、2.位置を与え(すごく効く成分でエライ)、3.使ってみる」ことで、何の苦労もなく覚えてしまったのです。
「イソプロピル…」なんかより、(大抵の場合)ずっと簡単な単語を覚えるのに、それが英語だからって、どうして訳分かんない覚え方をしなくちゃいけないのでしょう。
確かに、蛍光に塗ったり、腱鞘炎になりそうなほどに書いたりすると「ああ、勉強してるなあ、おれ/わたし」と、自分で自分をほめてやりたくなるような満足感を得ることが出来ます。
自分で自分をほめることは大事です。しかし結果が伴わなければなりません。
英単語勉強なんて時間を掛けているようで、本当にその単語に思いをはせている時間は、ほとんどありません。「本当にその単語に思いをはせている時間」/「単語に掛ける時間」=「限りなくゼロ」です。
それでは脳みそに対してfairでありません。時間をほとんど与えずに「ぼくの脳みそ、ダメじゃん」と決めつけるのは、ちょいと慌てすぎです。
実際に英単語を前にしたときは、3つのステップ(1.イメージし、2.位置を与え、3.使ってみる)は渾然一体としていて、アルゴリズム的にきっちり分けることは難しいでしょう。でも、このステップが必要なのだと、頭の隅の方で意識はしておいてください。
レッスンは次のように並びます。
Lesson1.辞書を読もう
Lesson2.実際にやってみよう
Lesson3.日々の態度
では、さっそく「Lesson1.辞書を読もう」に参りましょう。
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