英語世界を作ろう

いよいよ佳境に入ってまいりました。一つの言葉(もしくは人の行うことすべて)をモノにするために、私たちは何をすべきか。何を狙っていけばいいのか。迷うことのないように、初めに答えを確認しておきましょう。もったいぶってはいけません。

(答え)「自分の中に英語世界を構築しよう

あっさりしていますね(もちろんです)。まだ若く、経験が足りない場合、単純さを馬鹿にしてかかる傾向がありますが、本当のこととは単純なものです。そして、この単純なことを肝に銘じておくことが、ゆくゆく大きな差となります。もちろん字面が単純だからといって、中身まで単純だとは限りません。また、答えを聞いたからって、分かったつもりになってはいけません。

英語世界って?

ここでいう「世界」とは、自律的な一つの宇宙を指しています。その中で、独自の物理が働いているところです。「世界観」と言い直してもいいですね。何かをモノにするというとき、つまりは「ある世界観(独自の物理的な感覚)を得る」わけです。

たとえば、自転車に乗れるようになったときを思い出してください。何か掴んだなって気がしたはずです。その「何か」こそ、世界観であり、独自の物理的な感覚です。一度、その世界観を掴んでしまえば「これ以上遅いと倒れる」とか「これくらいの坂なら登れる」とかいったことが、今まで経験のないことでも分かります。それを掴んでいない人には、説明しにくいルールのようなものが脳の中に作り上げられるのです。

言葉は学問じゃなく、一つの生きた世界なんだ

昔の日本人が漢文に返り点を付けて読み下してしまったのは、中国語を勉強すべき学問であると考えてしまったからです。そして現代の私たちも英語を勉強すべき学問だと思っています。その証拠に「英語を勉強する」と言いますね。「英語を練習する」とは言いません。

ところが言葉は、ギターが弾ける/弾けない、自転車に乗れる/乗れない…と同じで、その世界、感覚を自分の中に掴むものです。グダグダと勉強なんかしてないで、「楽しいからする。そのうち上手くなっている」というのが正しい姿勢のはずです。練習すべきもので、勉強するものじゃありません。

ここに私たちの間違いがあったのです。言葉をカチッとして動かない無機物的な学問だと勘違いしていたのです。だから、完成された法則(教科書的文法)に、完成された要素(辞書的単語)があって、それさえ勉強して頭に入れてしまえば自分も完成だと思い込んでいたのです。

言葉は一つの生きた世界です。有機的なネットワークです。そこでのルールは、完成された法則ではなく、説明しにくい独自の物理的な感覚なのです。単語なら、away:…から離れて、という「定義」ではなく、away:こっちからあっちへヒョイっていう「感じ」なのです。

その言葉をモノにしている人は、一つの生きた世界を自分の中に作り上げているのです。そういう人は、間違えている文章に対して、まずは「なんか変だ。そういう風には言わないよ」と感覚的に反応します。その後、親切で知識のある人だけが、文法的に説明してくれるのです。あくまでも「感覚」が先です。

その「感覚」を掴んでいれば、文法なんて知らなくてもいいのです。ぼくらだって、日本語の文法を習い始めたのは、とっくに日本語を操っている中学からですよね。そして、ぼくらにとっての(日本語の)文法なんて、「ふーん、そうなってんだ」くらいの確認事項でしかありません。

教科書的な文法や辞書的な単語の定義が、まったく役立たずだと言っているのではありません。優先順位が違うと言っているのです。あくまでも第1位は「感覚をつかむ」ことに置き、文法や単語定義のチェックは、感覚を掴むための道具として使うのです。

「ネイティブじゃないから」理論

ぼくらはネイティブじゃないから、こうやって体系的に勉強しなくちゃだめなんだって理論もあります。それがまったく間違っているとは思いません。でも「勉強だけ」して言葉をモノにしようとするなら、絶対に間違っています。

日本語の「感覚」を掴もうとせず(つまり、日本語世界を作ろうとせず)、教科書的文法と辞書的単語の記憶だけで、日本語をモノにしようとしている外国出身の人がいたら、こう言いたくありませんか? 「ねえ、それって無理じゃないかな」

「体系」も、もちろん利用すべきです。やみくもに感覚を掴もうとすれば、それこそ言葉の海で、泳いだり溺れたりする必要があります。大抵の場合、それは不可能です。そこで「体系的に勉強する」のではなく、「体系的に感覚を掴む」ようにするのです。

何もしない訳じゃない

「勉強するな」とか言われますと、ただでさえ、面倒くさがり心に火のつきやすい私たちですから、なんだかうっとりと「もう、これでいいんだ…」なんて、自分を全面肯定しがちです。「このまま何もしないで、ある日突然、英語が聞こえるようになるんだ…」なんて。

そんなことは、ありません。

体系的に感覚を掴むには、勉強だけじゃ足りないと言った方が正確ですね。もっと時間をかけるべきものがあるのです。「もっと時間をかけるだって? これ以上、無理だよ」という声が聞こえます。確かにその通りです。勉強なんかしていれば……。

勉強のタチの悪いところは、妙に時間を取られるところです。それはそうですよね。本来なら日本語と関係のない英語を、日本語側の論理で解釈し直そうと一生懸命こねくり回して、「勉強」としているのですから。無理のある作業には時間がかかるものです。

英語をモノにしようというとき、本筋は「英語世界を自分の中に作る」ことです。英語を日本語側の論理で解釈し直すことではありません。私たちはどうでもいい些末なことばかりに時間をかけて、肝心なこと「英語の感覚を自分のものにする」作業を一切していないのです。

英語を日本語に分析してみせても、しょうがないのです。それもある程度必要かも知れませんが、その作業ばかりに時間を取られてしまっては本末転倒です。「末(=勉強)」をやめれば、「本(=英語世界を作る)」にかける時間が生まれます。

「勉強するな」と言っても、何もしない訳じゃありません。今までと同じ労力を「英語世界を作る、感覚を自分のものにする」作業に振り向けるのです。

じゃあ、具体的にはどうすればいいの?

確かにちょっと抽象的にすぎます。具体的行動は、次のページ(→辞書いらず語彙力アップ法)に。

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