するな、英語の「お勉強」

英語が何しろ大嫌い、頭が悪いんだとすっかり自信を喪失し、天然パーマがひどくなったのも、ひとえに「本来なら楽しく練習すべきものを、わざわざつまらなく勉強しようとした」がためです。おかげで湿気の多い日などはクリクリですよ。

今ではどうしてあんなに嫌いだったのか、不思議なくらいです。英語で物を読むことが楽しいし、まだ貧弱な「翼」ですが、日本語以外の世界を渡れることがうれしい。英語に対するストレスがなくなると、世界はドカーンと、本当にドカーンと広がります。具体的にどのように広がるか、列挙することは差し控えさせていただきますが(お楽しみは取っておいて)、この「翼」は絶対に手に入れる価値があります。絶対に。

ヒントは意外なところから

私がハムスターの乗る「ぐるぐる空回り器」から足を下ろせたのは、横浜で買ってきた、安物のアコースティック・ギターを掻き鳴らしていたときでした。ジャラーンと弾き鳴らしては、「ううむ、サマになっている」と悦に入っていると、気づいたわけです。おや、いつの間にか弾けてるぞ。

その間「勉強」などしていません。もちろんコードの押さえ方は本で見ましたが、それだって、今ここで弾くために確認しただけです。「いつか、本格的にやるために勉強した」わけではありません。ジャンジャカ、ジャンジャカ、楽しいねえ、とやっているうちに、コードなんていつの間にか覚えていました。

啓示が降りてまいりました。一つ目の啓示です。

ご存知のように、啓示というものは一つだけでは迫力に欠けます。しかし、このとき思い出したのです。「思い出した」という事実が、それが重要であることを示していました。その、一つ目の啓示とは……

今まで何かをモノにしたとき(本当に使えるようになったとき)、「勉強」なんかしたことなかったじゃないか!

思い出して欲しい

かつてできなくて、今できることを数えてみてください。ここでは言語的なものに限定しましょう。それでもたくさんあります(成長したものです)。その中で「勉強」だけして、モノにしたことなんて一つもないでしょう?

  • 相手との距離感で変わってくる、適当な挨拶
  • ほぼ同じ意味の言葉の、ビミョーな違い
  • いつ敬語を使ったらおかしくて、いつタメ口を使ったらおかしいのか
  • 相手の言う「フツー」が強調なのか、否定なのか、それとも普通なのか……

こういった実は難しいことをぼくらは平気でモノにしています。もし、この全部を日本語として「勉強」していたら? 私にはとてもじゃないけど、無理です。どれ一つとして、一生モノにはできないでしょう。

では、どのようにしてこういったことをモノにしたのでしょうか? 「いつの間にか」というのが答えだと思います。つまり、その世界に身を浸し、楽しんでいただけで、いつの間にかモノにしたのです。

その世界に身を浸し、楽しむ

その世界に身を浸し、楽しむことこそが、何かをモノにするときの王道です。そしてそれは「勉強」の対極に位置します。勉強するとき、私たちは第三の立場を取ります(英語なら、英語でなく日本語で考えます)。そして、もちろん楽しみません。

次の啓示は、TOEICほぼ満点な友達

私の友達はみんな、私と違い、とても勉強がお出来になる。TOEICとか受けても、それ用の勉強をソツなくこなし、ほぼ満点なんか取っちゃう。たいしたものです。

TOEICほぼ満点というと、ノンネイティブでは最高レベルだってことです。つまりコミュニケーションにはまったく問題ないレベルだという証明が与えられたわけです。

ある日、ほぼ満点を取った友達に聞きました。「お前、問題ないのか?」って。そしたら「問題だらけだよ…」と答え、英語力の不足から起こしてしまった仕事上の失敗をグチりはじめました。

スキを見て、私がペーパーバックも読んだりするんだと話したら、大いにびっくりしてました。びっくりした友達を見て、こっちがまたびっくりしたわけです。TOEICほぼ満点なら、ペーパーバックだってすらすら読むんだろうと信じていたからです。

社会では、英語の実力を計るモノサシとしてTOEICが絶対視されています。受験英語、学校英語はダメだけど、TOEICなら本物だと、TOEIC用の勉強を同僚に気付かれないようにすることが社会人のたしなみとされています。ところが実際はTOEICでほぼ満点を取ったところで、(思い描くようには)英語が使えるわけじゃない……。

3つ目の啓示は、弘法大師

空海(弘法大師)のことを描いた小説を読んでいたときのことです。空海は密教を学ぼうと大陸へ渡ったわけですが、そこでただ1人ペラペラだったことが、彼の天才ぶりを現すエピソードとして紹介されていました。すごい、と。

逆に言えば、遣隋使として一緒に大陸へ渡った残りの人はみんな、使える中国語を身につけていなかったのです。当時の日本人が持つ中国に対する憧れはハンパなものではなく、もう漢文ばっかり命がけで勉強していました。それでも使えない。空海の天才ぶりもすごいけど、その他の人たちのダメぶりもすごくありません? そればっかり勉強して、1つの外国語も身に付かないなんて……。

彼らのどこに問題があったのでしょう? 勉強時間は十分足りてそうですし、遣隋使は超が付くエリートですから、知能もきっと高かったことでしょう。気合いに関しては、私たちの想像を絶するほど、入っていたはずです。

学校で習った漢文の授業を思い出しますと、ハッと思い当たるものがあります。彼らもきっと漢文に返り点を付けて、読み下していたはずです。つまり漢文という暗号を日本語に解読して「勉強」としていたのです。そんなことをしていて、中国語が出来るようになるとは絶対に思えません。中国語を日本語として読み下しちゃうんだから、笑っちゃいますよね? 語学ってそういうもんじゃないぜって、言いたくなります。

「それじゃあ、何なの?」と昔の人は聞くでしょう。じゃあ語学って、何なの? では、次のページ(→英語世界を作ろう)に。

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